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分析家の独り言 337(母を語り母から分離する)

分析の最初,、クライアントの養育史を丹念に聴いていく。

当然、クライアントの母親父親のことに触れる。

「厳しい母でした」「怖い母でした」「よく怒られました」「父と母はしょっちゅう喧嘩してました」等とクライアントの口から語られる。

どんなふうに厳しかったのか、怖かったのか、怒られたのか、どんな喧嘩だったのか、詳細を聴いていく。

それらを少し語ってクライアントは、もう充分語ったと思っている。

これは抵抗。

これ以上語ることを無意識に拒んでいる。

語れば、それに伴ない悲しい自分が溢れ出てくることを察知し恐れている。

また、よく聞かれるのは、「今更母に文句を言ってもどうにもならない」というセリフ。

分析で問題なのは、今はもう年老いた目の前の母親ではなく、生まれてから育ってくる間に心の中に内在化した母のイメージである。

母親に文句を言って、悪しき母を改心させようというのではない。

厳しく、怖い、よく怒った母により、傷ついた自分がいる。

否定され、拒否され、見捨てられた悲しい自分が、大人になった今もそのままいる。

過去に整理がつかず、子ども時代を生きている。

この子ども時代を終わらせて、今ここに生きてはどうか。

こう言っても、そんな子ども時代のことなどもうこだわっていないとクライアントは思っている。

しかしこの世に生まれて最初の対象である母親は、我々にとって絶大な存在感と影響を与えている。

自分が親となったとき、子育てにも影響し、気がつけば自分の親と同じ事を子どもにしてはいないか。

自分の考えで生きていると思っているが、よくよくみれば母の親の考えをそのまま自分のものにしてはいないか。

心に焼き付いた母のイメージを語りながら、母から離れ、自分を確立していく事である。

これが分析による、自己の尊厳に気づいていく自分探しの旅である。


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