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分析家の独り言 597(対象喪失)


愛する対象を失うことを『対象喪失』といいます。

近親者や愛情依存の対象の死や分離、失恋などです。

親子での心理的自律にともなう母子分離や父子分離、住み慣れた環境や地位、

役割、故郷などとの別れなどもそうで、

引っ越し、昇進、転勤、海外移住、帰国、結婚、進学、転校、単身赴任などの

環境変化も対象喪失になります。

これら対象となる人、物、事に対して、その人が愛着を持っていた場合に対象喪失となり、

愛着を感じない対象を失っても対象喪失にはなりません。

気に食わない対象を失っても「せいせいした」となります。

環境の変化という意味では、結婚や妊娠・出産、昇進などという

一般的にもおめでたいことであっても、ストレスになります。

それまで慣れ親しんが環境、生活様式が変化し、新しい生活への不安が加わるためです。

人はストレスの中で最も大きいものは、別離によってもたらされる悲しみです。

愛着を持った配偶者、親子などの死は受け入れがたく、心に大きなダメージを与えます。

うつの大きな原因になります。


人にとっての最初の対象である母との一体感が精神の基本です。

この関係が引き裂かれ、壊れた時に精神の危機が訪れます。

これが最も如実に衝撃的に行われるのが対象喪失体験で、

これは予期出来ず突然やってきます。

人は誰も愛着対象を無くせば落ち込みます。

しかし、そこからいかには這い上がり立ち直るかです。

変化に対する対応力が求めらます。


              インテグレーター(精神分析家) 登張豊実


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